栃木県全25市町にひとつずつ焦点を当てて開催する「栃木ゆかりのみオンライン」。

今回は大河ドラマ「麒麟がくる」の撮影地にもなった「壬生町」をお送りします。

実は筆者はこの壬生町の出身で、絶対に参加したい……!と、いつにも増して首を長くしてこの日を待ち構えていました(笑)。

当日は地元民でも知らない新しい発見がたくさんあって、とても楽しかったです!

こんにちは!栃木ゆかりのみ幹事の永井彩華です。今日は、壬生にゆかりのある方や、近くに住んでいたけれどよく知らないという方、他市町の職員さんやアメリカ在住中の方など、さまざまな人たちが参加してくださっています。

(参加者一同)楽しみです!

壬生町からは職員の大橋さんと、壬生町で事業をされている水井さんをお迎えしています。よろしくお願いします!

壬生町役場商工観光課の大橋です。よろしくお願いします。

大橋さんはこれまで壬生町役場ではどんなご担当をされていたのでしょうか?

最初は水道課で、工事の手配とかですね。次に嘉陽が丘(かようがおか)の施設管理を。その後は税務課で確定申告などを担当していました。2000年ごろに県の都市緑化フェアに携わり、壬生はわんぱく公園で大きなステージやパビリオンを開きました。それから福祉部門や消防団、住民課を経て、今の商工観光課に来ました。

去年までは、みぶハイウェーパークみらい館という道の駅に関わっていました。壬生パーキングエリアに連結した道の駅で、おもちゃ博物館とわんぱく公園などの施設もあわせて東京ドーム11個分の大きさになる道の駅です。駐車場の台数ではほぼ日本一ではないかなと。

壬生町で“創生ワーキング”という町おこしを主体とした団体の代表を務めている水井と申します。株式会社水井という電気と水道の工事店をやっています。趣味は山登り……いや、ご飯を食べることが趣味です。山登りはちょっと美化しました(笑)。山の上でも美味しいご飯を食べられたらいいなって思っています。

(笑)ありがとうございます!大橋さんから壬生町全体のお話をはじめ、水井さんからは地域で挑戦されている視点でのお話や、壬生町の美味しいものの情報も伺いたいと思います!

壬生町ってどんなところ?

まずは壬生町のイベントからご紹介しますね。大きなイベントでは4月に「しののめ花祭り」、8月には「壬生ふるさと祭り」がありますね。7月には「八坂祭」というお祭りもやっています。道路いっぱいに御神輿をかついで地元の人が練り歩きます。女性が担ぐ女みこしというのもあって、熱いお祭りです。昼から汗だくになりながら重い神輿を担ぐので、肩にこぶができるそうです。秋から冬になると、商工会を中心に地元企業が出店する「壬生町総合産業まつり」や「チャリティバザール」を開催しています。

八坂祭もふるさと祭りも毎年行っていました!しののめ公園は本当にきれいですよね。

しののめ公園

しののめ花祭りが行われるしののめ公園

壬生といえば「おもちゃのまち」という地名が有名ですね。

壬生町は平地が広いので、以前は企業誘致が盛んで。おもちゃのまちには、その名の通りおもちゃ工場がたくさんありました。現在は2社くらいに減って、大半が物流関係です。

「おもちゃのまち」の由来はおもちゃ工場があったことだったんですね。

もともとおもちゃ工場だった広い土地では、社宅が一般住宅に変わって、戸建ても増えてきています。それに伴って商業施設が増えてきて、マクドナルドとかヤマダ電機がまとまっておもちゃ団地の中に出店されています。周辺にはスーパーや飲み屋さんなどの飲食店が増えているのでどんどん生活に便利になっています。観光もできます。コンパクトなので一日でまわれますよ。

おもちゃのまち

壬生町全体の人口は4万人で、昔からさほど増えてはいないですが世帯数が増えています。

高速道路も通って、南北に通っている県道は全線2車線で交通の便はいいです。最近ではファナックという企業の大きな工場を誘致したので、壬生インターから鹿沼方面に通称“ファナック通り”と呼ばれる広い道ができました。あまり通行量は多くないんですが、すごく広い道なんですよ。

壬生は主要な道路や高速道路へのアクセスがよいということもあって、企業が誘致先に選ぶと聞いたことがあります。壬生からほぼまっすぐ、数回曲がるだけで茨城県まで行けるとか。

高速に乗ればそうですね。壬生インターに乗って、東にまっすぐ行けば茨城県の海浜公園まで行けます

すごい!壬生町には工業地帯はいくつあるのでしょうか?

おもちゃ団地、羽生田のファナック、吾妻工業団地と3つの工業団地があります。吾妻工業団地は産業廃棄物を扱う企業が多いです。

あと、国道352号線付近は昔からの農村地域で、いちご農家はいっぱいあります。壬生の特産であるとちおとめがメインですね。JAみぶから東京に出荷されていきます。


東京で壬生のいちご、よく見ます!

道の駅で売ってるいちごは特に美味しいですよね。びっくりしました。

道の駅は店のこだわりで完熟したいちごしか売らないんです。出荷してすぐ食べてもらえるので、ベストな状態のいちごが並んでいます。

あと、壬生の特産といえばかんぴょうですよね?

特産ですが、現在は下野市のほうが圧倒的に多く作っています。もともとは、壬生の藩主である鳥居家が滋賀からかんぴょうを持ってきて特産にしようと作り始めました。

かんぴょうを使った「ふくべたちのハロウィンナイト」というイベントも開催されているそうです!

今は多くは作っていないんですね!壬生の人はかんぴょう音頭で歴史を学びますね。

ふるさと祭りで生歌でかけてもらいますね。一回30分くらい、ずっと踊りっぱなしなんです。真ん中に7~8メーターの高いやぐらを建ててお囃子をセットするんですが、やぐらの上に大きい太鼓を誰かが持って上がっていかなきゃいけません。命がけですね(笑)。

花火とやぐら、かんぴょう音頭を踊る人々

かんぴょうといえば、壬生在住のシンガーソングライター・サトウヒロコさんに「かんぴょうのうた」を作っていただきました。サトウヒロコさんにはかんぴょう大使や壬生のふるさと夢大使としていろいろと活動していただいています。

芸能人も多く輩出していますよね。斉藤和義さんはおもちゃのまちの中華料理屋「永幸」さんのレバニラが日本一おいしいって絶賛してたとか。大島優子さんも壬生ですね。

城下町とお殿様料理

壬生町には「お殿様料理」という特産品があります。それが、こちらです。僕の大好きな鮎の稚魚の一夜干しが入っています。

「日本料理旬香」さんのお殿様壬力御膳を特別にお弁当にしていただきました!

私は「山水亭」さんのお弁当を用意しました。壬生城のお殿様だった鳥居家第四代目の朝食のレシピが残っていまして、そのレシピを基に作った料理がお殿様料理です。委員がお店に食べに行き、現在計6店舗をお殿様料理を出すお店として認定しています。

お店で食べるとこんな感じ。「割烹山水亭」さんの壬生大名御膳

この大名料理プロジェクトのきっかけは、今年の11月に予定されている藩校サミット。全国のお殿様を迎えるこのサミットに向けて、お殿様料理として打ち出しました。

お殿様というのは……?

各家の当主の末裔の方、徳川家の方々などですね。壬生の鳥居家の末裔の方もいらっしゃる予定です。

今もお殿様っているんですね。すごい!

お殿様料理はスタンプラリーもやっていて、集めると500円の割引券として使えます。御城印もありますよ。壬生城はもうないですが、今の城址公園という場所にもともとはお城があって、徳川家が日光に行く際の宿城として使われていました。

城下町っていうのは壬生のアイデンティティですよね。

ライトアップされた城址公園の二の丸門

城址公園の近くの通りは、なぜ蘭学通りと言うのでしょうか?

齋藤玄昌という種痘の予防接種を普及させたお医者さんが住んでいたというのがその由来だそうです。

今はいろんなお店がある通りですね。

ケーキが評判の「ヒガノ」さんのほか、行列のできるラーメンの「鈴乃屋」さんや、かき氷の「日野屋」さんもありますね。日野屋さんは120年以上続く氷屋さんで、250円で天然氷のかき氷を食べることができます。氷にシロップのシンプルなかき氷だけどすごく美味しい。

しろくまより安いですね!

若手の挑戦、活気を取り戻すおもちゃのまち

先ほどおもちゃのまちには住宅が新しく増えていると伺ったので、新しく変化をしつつある地域なんじゃないかなと。まちづくりはこれからという雰囲気なんでしょうか?

どちらかというと昔の活気をもう一度……という感じです。もともとおもちゃに関する企業がいっぱいあったときは、朝、駅から団地に向かう通勤ラッシュがあったり、周辺の飲食店もすごく混み合っていたりしていて。でもそれから工場が海外に移転して、だんだんとお客さんが減っていきました。それでも最近は若手の方や企業がからあげ屋さんを作ったり、パン屋さんを作ったりしていますね。

また地域を盛り上げようと、若手の方が頑張っているんですね。

昔はおもちゃ団地で盆踊りをやっていた時代もあったんですが、今のおもちゃのまち地区にはこれといったお祭りがないんです。そこで地元の商工会青年部とか、夢壬隊という町の有志団体が中心になって、ビールまつりをやりました。おもちゃのまち駅の東側ロータリーを会場に、最初はドイツのビールを集めてオクトーバーフェストのような感じで。

楽しそう!

1年目が終わったら「次は違うビールでやりたくない?」ってなりまして(笑)。2年目は地元の青年部でハワイアンショップやっている子がいたのでハワイアンビールを。3年目はイタリアのビール、4年目はアジアのビール、といった感じで趣向を変えてやりました。毎回地域と雰囲気を変えて、新鮮な感じで楽しめるお祭りにしていますね。

若手の方がいろいろ挑戦しているんですね!

地元を盛り上げたいって人が多いですね。

あとは、おもちゃのまちにある獨協大学病院のイベントとかと連携して何かできればと、獨協の施設を見学するガイドツアーをしたこともありました。地元の病院を間近で、ドクターヘリなども見て再発見する機会になればと。今は新型コロナウイルスの影響でストップしてしまっていますが。

ドクターヘリが見られるって、なかなかない機会ですね!

壬生町の課題とは?

私たちは地域の課題こそが、若い人たちが挑戦するチャンスだと考えているので、全ての市町で必ずお聞きしているのですが。おふたりが感じる壬生町の課題を教えてください!

大きな市に囲まれているので住みやすいですが、その中であえて壬生町の中に人を呼び込むってことが難しいと思いますね。壬生町には東武線が通っていて駅は4駅あるんですが、電車が30分に1本しか通っていないんです。その電車も宇都宮までしか行かないから、JRのように東北まで行けるわけじゃないし。

おもちゃ博物館は割と東京からも人が来ているイメージがあります。

そうですね。おもちゃ博物館はNゲージなどの模型があったり、おもちゃのまちで初めて生産されたシルバニアファミリーの展示があったり、わんぱく公園の方は一部の施設を除いて入場無料で思いっきり遊べるので、家族連れで賑わっていますね。

おもちゃのまちバンダイミュージアムには等身大ガンダムがあって、お父さん方に人気です。リニューアルオープンをしまして、コロナの中でひっそりと新たな展示がされています。ガンダムのコクピットに実際に乗って写真が撮れるんですよ。

©創通・サンライズ

大橋さん撮影 ©創通・サンライズ

日本だけでなく海外のガンダマニアにも人気がありそうですね!

その視点はなかったです。確かにそうですね!

県外の方を誘致する効果はどうなんでしょう?対策とか課題とかはあるんでしょうか?

ビールまつりに関しては会場が東武鉄道のすぐ駅前なので、東武鉄道に協力をいただいて告知をしてもらっています。飲んですぐ電車で帰れるので、実際に東京からくる方もいたりとか。でも東京の方からだけじゃなくて茨城・群馬からも来ていただくのは難しいなと。

壬生ふるさとまつりなどのお祭りは駅からすぐ近い場所じゃないんですが、無料のシャトルバスを7台くらい回して、車で来られない方にも来てもらえるようにしています。会場は人でいっぱいですね。

なるほど。

外から来てもらう工夫もしているんですね。目玉はかんぴょう音頭ですね!

 

では、最後に参加者の皆さんから一言ずつ感想をお願いします!

  • 宇都宮くらいしか遊ぶところがないと思っていたけど、壬生にたくさん面白い場所があるとわかって次に遊ぶときの選択肢になりました。城下町にも興味あります。
  • 私の住む町からすると、みんなで楽しめる場所がたくさんあってうらやましいなと思いました。ビールまつり、行ってみたいです。
  • 外国人受けする町なんじゃないかな、と思いました。お城好きな方にもいいし、蘭学通りお殿様料理も。ガンダムもありますよね。外国から来た人だと、東京から宇都宮近いんじゃないかって思って来てくれるかも。東武の本数が少ないのがネックになるかもしれませんが……。
  • おもしろい観光資源がたくさんあることがわかりました。確かに、アクセスが課題ですね。
  • 私の住んでいる市からすると、アクセスはいい方なのかなと思いました。毎年高橋尚子さんがいらっしゃる(※)のはなぜかなと思っていましたが、それも納得のいい町ですね。
  • ※わんぱく公園から壬生のまちなかを走る「壬生ゆうがおマラソン」には、毎年高橋尚子さんがゲストランナーとして参加されています!

壬生のいいところは十分知っていたつもりでしたが、今回大橋さん・水井さんのお話と、参加者の皆さんの「すごい!」の声を聞いて、こんなにたくさん魅力がある町なんだ……!と再認識しました。おもちゃのまちお殿様ガンダムシルバニア、なかにはドクターヘリの見学まで、コンテンツがもはや渋滞してます!(笑)コロナ禍が無事収束したら、ぜひまた国内外のたくさんの人に壬生を堪能してほしいですね。

ありがとうございました。やっぱり自分たちは町の中での交流が多いので、外から見るとどう見えるかが分かって、すごく貴重な時間でした。

改めて壬生町っていろんな魅力があると再認識しました。紹介しきれていないものもたくさんあるので、コロナが落ちついた頃、ぜひ壬生に遊びに来てくださいね。

最後は32(みぶ)ピースで!

集合写真

 

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